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映画 comments(0) - こぶたのゆう




1987年10月31日公開の、市川準の第一回監督作品。
ひねくれた性格ブスのヒロインの、心の成長を描く傑作です。多くの映画に出演している主演の富田靖子ですが、『さみしんぼう』とならんで人気の高い作品です。

18歳の森下麦子は親もとを離れ、東京に上京することになりました。叔母の胡蝶のもとで芸者見習いをするのです。鈴女という名前をつけてもらい、学校に通いながら見習いもするのでした。しかしクラスにも打ち解けず、芸者仲間にも打ち解ける事ができない麦子。
ある日置屋の老人・辰巳が嫌いだったお母さん・雪乃の話をしました。雪乃は腕のいい芸者で、麦子と同じくらいの年に演じた八百屋お七は素晴らしかったのだそうです。そんな時クラスでいじめをしていた女の子を怒鳴りつけた麦子、それを止めに入ったボクシング部の律田邦彦をさらにべつのいじめられていた男の子がつかみかかり、邦彦に怪我を負わせるという事件が起きます。さらに麦子を可愛がってくれた売れっ子芸者の揚羽が駆落ちをしました。ショックの中、なかなか決まらない秋の文化祭の出し物で、邦彦に気があった京子が邦彦が麦子に関心を持ち始めたのが面白くなくて、麦子が芸者の卵なのをいいことに意地悪で推薦したのです。クラスみんなが賛成を唱えます。自分の力量から無理だといいますが、みんな聞き入れてくれません。しかしビアガーデンで見ず知らずの女性と知り合ったことがきっかけとなり、麦子は「八百屋お七」をする決心を固めます。そして猛特訓がはじまったのでした。

すべてを否定するようなマイナスの性格の麦子が、いろんな人との関わりあいの中で成長していく、そういった過程が丁寧に描かれています。田舎ではなかなか出来ない、多くのいろんな人との出会いが、麦子を生長させ変わらせていく、そしてこの映画は決してハッピーエンドではないですが、でも人生とはそういうものだというメッセージの込められた展開なんだと思います。全編ほとんど暗い表情と本当に少ないセリフで通している富田靖子ですが、撮影中も他のスタッフや共演者に声をかけないように、という監督の指示があったそうで、役作りを徹底させていたんですね。でも当の本人は、どちらかというと和気あいあいと仲良くするのが苦手な性格のようで、かえってそういう環境の方が楽で良かったそうです。

出演は富田靖子、大楠道代、伊藤かずえ、高嶋政宏、丘みつこ、藤代美奈子、白島靖代。監督の市川準は、2008年9月19日に亡くなりました。監督の第一回作品ということで、思い入れがあるのか、冒頭の部分で、画面いっぱいに主演・富田靖子と監督・市川準の2人の名前だけが画面に出ます。監督と主演の名前が同時に出るなんてかなり珍しいと思います。

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