三度目の殺人

映画 comments(0) - こぶたのゆう

 

2017年9月9日〜10日付 日本興行成績第2位 2億3311万円。

 

監督・是枝裕和による法廷サスペンス『三度目の殺人』です。第41回日本アカデミー賞の最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀編集賞・最優秀助演男優賞(役所広司)、最優秀助演女優賞(広瀬すず)の他、多くの賞を受賞しました。以下の文には若干のネタばれがあります。

 

三隅はクビになった元雇い主の社長を河川敷に呼び出し背後から頭を乱打して殺害、その後ガソリンを撒いてその死体に火をつけます。弁護士の重盛は同僚の摂津に頼まれてこの殺人事件の容疑者・三隅の弁護を担当する事になります。三隅の証言が二転三転して自分には手に負えないとの事でした。三隅は強盗殺人として裁判にかけられ、さらに過去にも殺人を犯しているので死刑は確実と見られます。それを無期懲役にまで落とせないか、という弁護でした。証言があいまいで変わってしまう中、週刊誌が突然事件の首謀者は殺害された社長の妻、という記事を載せます。三隅が週刊誌にインタビューで答えたのでした。この線で行けると考えた重盛は三隅のアパートに向かいます。三角は犯行前から身辺整理をしており、衝動的な殺人ではなさそうでした。さらに被害者の娘・咲江が何故か三隅のアパートをよく訪ねてきていて、親しげだったとの大家さんの証言もありました。何かあると感じた重盛は、三隅の最初の殺人事件について調査を始めます。

 

結構難解なお話。冒頭部分で三隅が社長を殺すシーンが出てくるので、三隅が犯人である事は間違いありません。お話の焦点となるのはその動機です。当初は強盗殺人(財布を盗んでいます)で裁判にかけられますが、重盛が三隅に会っても、犯人らしさというか罪を犯した意識みたいなものが無い感じがします。さらに被害者の妻から殺人を持ちかけられた、という話が出てきて三隅も肯定しますが、どうもその辺が信憑性が薄い気もします。しかし、真実はどうでもよく、裁判に勝つかどうかという事に焦点を絞っている重盛はその話に乗る事にします。証言(又は外部から明らかになる事実と思われる事)から、次第に三隅という人物がどういう人で何を考えているのか分らなくなっていきます。普段はニコニコしていい人なのに、突如怒り出したり。事件の真相も最終的にはっきりしない、曖昧な終わり方になっているので、見終わった後にこの話はどういう事だったんだろうという、自問自答(それか他の人に聞くかしないと)する事になります。監督のこの映画のテーマは「人は人を裁けるのか」というものだそうですが、お話自体がわたしにとっては難しい(真実がこの映画のシーンだけではわたしには特定できませんでした)ので、テーマ自体もピンときませんでした。こういう真実を曖昧にする映画っていうのは結構好きなんですが、この映画は特にわかりにくいように思います。犯人は三隅じゃない(他の人か、それとも三隅ともう1人の人間でやったのか)となると、冒頭のシーンが引っ掛けになってしまうので、わたしはあくまでも冒頭のシーンは真実として見たいんですけど。監督のコメントに「日本の司法制度の現実を描く」というのがあるそうで、それを考えると三隅がなぜ証言を何度も変えるのかが分るような気がします。三隅という人の立場で証言を変える理由はわたしにはよく分りませんでしたが、映画的にこうする事で起こる予定外の出来事に翻弄される裁判の関係者と、それを事件の真実とは別の所で調整しようとする(人を裁いたり助けたりではなくて、裁判官や弁護士や検察官の人たちの都合)部分を描こうとしているのは分ります。わたしも終盤の、3者間の話し合いで割合簡単に判決が決められるのを見てかなりびっくりしました。事件の真相がはっきり描かれないというモヤモヤもありますが、それよりもこの死刑判決の簡単な決定というのが一番衝撃的だったかも。

 

監督は是枝裕和、出演は重盛朋章に福山雅治、三隅高司に役所広司、山中咲江に広瀬すず、山中美津江に斉藤由貴、摂津大輔に吉田鋼太郎です。

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