SYNCHRONIZER

映画 comments(0) - こぶたのゆう

 

2015年に製作されたサイコスリラー『SYNCHRONIZER』です。サイコスリラーという紹介が多いですが、観たところサイコスリラーというよりはSFに近いかなあという印象でした。人間と動物の脳波を同期させるという無許可の研究をしている研究者がそれを人間同士でしようとするというお話です。この映画は監督の万田邦敏が教鞭をとる立教大学の現代心理学部の映像生態学プロジェクトの一環として製作されました。

 

研究者の長谷川高志は自身が関わっていた研究を他の者の研究として発表される事に嫌気がさしています。また彼はこっそり人間と動物の脳波を同期させるという無認可の研究をひとりで行っていました。そんな彼に好意を持つ同僚の木下萌は、高志に研究を手伝いたいと申し出ました。2人で秘密に研究を重ねていき、研究に使っていたネズミの脳が劇的に進化している事を発見します。2人の研究が進むにつれて2人でいる時間も長くなり、2人は同僚以上の男女の関係になりました。同じく研究が現在痴呆症で施設に預けてあるお母さんに適用できるのではと考えた高志は、お母さんを引き取り、子供の頃に住んでいて現在は空き家になっている所で世話をしつつ実験をする事になりました。その成果は徐々に出てきます。息子さえ認識できなかったお母さんが高志を認識できるようになり、今まで世話をしていた(現在は海外勤務になっている)長男の奥さんと間違えていた萌も分るようになっていきます。そして、お母さんは息子と自分との関係を重要視し、萌よりも自分の方が高志との関係が強いとの感情を前面に出すようになります。

 

最初は演技が微妙(演出?)だなあとか思っていました。内容も研究から介護の問題などどちらかというと暗い内容が多く、物語の進行もゆっくりなので中盤あたりはちょっとだるくなる部分もあります。登場人物もいい人、悪い人、という括りではなくて、研究を取った形になった研究者が意外にいい人だったり、高志が次第にお母さんとの同期に抑制が効かなくなって萌との関係もギクシャクしていったり、さらにそのお母さんの息子への溺愛が問題だったりと、かなり内容が凄い事になっていきます。最初ネズミと同期していた高志がネズミの行動が部分的に出ているところから同期は高志の方にも影響を与えるという予想ができたんですが、それが結局は極度に疲れるくらいのものに終わっていたり、後半何かあると思わせるような伏線が結局回収されない、というのが幾つかあったのが気になりました。終盤まで微妙な内容だなあと思っていたら、終盤は凄い事になって、この部分はとても良かったです。この終盤からラストで映画のわたしの評価がぐっと上がったように思います。

 

監督は万田邦敏、出演は長谷川高志に万田祐介、木下萌に宮本なつ、その他古川博巳、大塚怜央奈、中原翔子、美谷和枝です。

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