五日物語 -3つの王国と3人の女-

映画 comments(0) - こぶたのゆう

 

2015年5月15日〜17日付 イタリア興行成績第2位 89万ユーロ。

 

17世紀始めのナポリ王国の軍人で詩人だったジャンバティスタ・バジーレがナポリ方言で執筆した民話集「ペンタメローネ」を原作としたイタリア・フランス・イギリス製作ダーク・ファンタジー『Il racconto dei racconti』(英語タイトルはTale of Tales)です。原作はペンタメローネ(五日物語)とあるように大枠の話がひとつと、1日分ごとに10の物語が5日分と合計51の話があります。「白雪姫」や「シンデレラ」などの原形と考えられているお話も多数あります。脚本の段階では原作の多くの物語が入っていましたが、最終的に女性の人生の3つのポイント(若さ、母性、老い)をテーマに選び、その欲望や強迫観念を描きました。

 

この映画は3つのお話から成り立っています。

 

ロングトレリス王妃は子供が出来ない事で笑顔になる事がなく、うっかり妊婦を見ようものなら悲しみに暮れる日々でした。そんなとき王宮にネクロマンサーが現れ「入江に住む海獣のドラゴンを誰にも見られないように処女に料理させてそれを食べれば子供が出来る」と告げます。しかしそれには大きな代償も求められるのでした。王は自分の命と引き換えに心臓を手に入れます。王妃はその心臓を食べて10日後に息子エリアスを生みますが、同じくして料理した町の娘も息子を出産します。16年後、エリアスと町娘の息子ジョナは親しくなっていました。ふたりは瓜二つでした。

 

ストロングクリフ王は大勢の美女と朝まで遊ぶ生活を送っています。ある朝町から美しい女性の歌声を聞いて心を奪われた王はその女性の家に押しかけますが会ってくれません。実はその娘は老婆の姉妹の姉ドーラだったのです。ドーラを美しい女性と信じている王は彼女に宝石の贈り物をします。ドーラは迫る王の押しに負け、呼ばれるままに城へ向かい王と一夜を共にしますが、明かりをつけないという約束を破って王は燭台でドーラの姿を見てしまいます。

 

ハイヒルズの王女バイオレットは大人の男女の関係に憧れています。しかし父王は娘の結婚には乗り気ではなく、発見したノミ(とても大きく成長します)の世話に夢中です。そのノミが死んでしまって失意の王は、娘の結婚話にようやく乗り気になりました。そこでノミの皮を望む全ての男に見せて、その皮の正体を当てたものを娘の婿に決める事にしました。ところがそれを言い当てたのは、鬼のような恐ろしい姿をした男でした。

 

ダーク・ファンタジーと言うだけあって完全に大人向けの童話です。子供には見せられません。ロングトレリスの王妃、老女のドーラ、王女バイオレットの3人の女性が物語の中心にあって、王妃は母親として、ドーラは老醜に悩む老婆、バイオレットは大人の男女の関係に憧れる少女という、女性がたどる3つの状態の、その欲望や執着を描きます。そして3人が3様に問題を抱え、決してハッピーエンドにはなりません。不思議なシーン、怖いシーンも多々あり、それらの描き方もかなりグロテスクに表現してありますが、全体的に絵画のように美しいシーンで彩られているので芸術作品を見ているような気がします。でも内容は庶民的な童話なんですが。3つの中で特に良かったのがバイオレットのお話。展開がまったく読めず、どんどん予想外の方向に物語が進んでいくところなんか引き込まれました。ホラー要素も一番大きいかも。優しさ、弱さ、強かさといった女性の多面性を上手に物語に溶け込ませて描いているように思います。

 

監督はMatteo Garrone、出演はQueen of LongtrellisにSalma Hayek、King of StrongcliffにVincent Cassel、King of LongtrellisにJohn C. Reilly、King of HighhillsにToby Jones、Princess of HighhillsにBebe Caveです。

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