わたしたちの家

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2018年1月13日から単館にて公開の、監督・清原惟による劇場デビュー作『わたしたちの家』です。ジャンルは特定が難しく、形而上的スリラーとか青春映画とか建築映画とか色々と言われています。PFFアワード2017のグランプリを受賞しました。同じ家を舞台に異なる2つの物語が進行していき、それが次第に交差していくという物語です。製作は東京藝術大学大学院映像研究科。

 

もうすぐ14歳の誕生日を迎えるセリは、お母さんの桐子と二人暮らしをしている中学生です。お母さんにはゴミ収集の仕事をしている彼氏が出来て複雑な気持ちになっています。友達と一緒にお母さんのデートをつけていったりもします。しかしその男性については好意を持つことはできません。さなはフェリーで目を覚ました時、自分の記憶が一切無くなっていることに気付きます。その様子を見ていた透子はさなを自分の家に連れて行き、記憶が戻るまでこの家にいればいいと提案します。このふたつの家は同じ家です。

 

非常に難解な映画。セリと桐子の生活は母子家庭でお母さんの新しい彼氏という問題がセリに起こります。こうした生活の中、幽霊らしき存在を家の中で感じ、話し声なども聞こえてきます。さなは記憶を失っています。手荷物の中には衣服とプレゼントの箱。プレゼントは誰かにあげるのか、それとも誰かからもらったのかも分りません。ただ開けるのが怖くて中々できないのです。さなも家の中で誰かの足音を聞いたり話し声も聞こえてきます。この2つの物語は同じ家を舞台にしています。しかし2つの世界は同じではありません。どちらが本当の世界か、もうひとつの世界は何なのか、といった事も一切の説明はなく、観た人が自分で解釈するしかないようです。ふたつの世界を比べて見るとさなの世界の方が不可解な点が多いように思います。何らかの隠れた活動をしているような透子、なぜ記憶を失ったのか不明なさな、プレゼントの中身は何なのか、喫茶店で知り合う男性の奇妙な(ちょっと常識的ではありません)行動など。ここからこちらの世界は異世界(例えば死者の世界とか)かなあ、とも思うんですが、セリの方も全く普通という訳ではありません。地面にコンセントをさしたクリスマス・ツリーが点等したり。セリが障子に指で開けた穴が透子の家の同じ障子に穴が開いているというところから明らかに2つの世界が繋がっていると観ている人はわかってきます。つまり時間軸は同じという事ですが、2つの物語の関係は不明です。監督はこの映画をバッハのフーガという音楽形式から発想したとの事です。複数の物語があって、最後まで見るとひとつの物語になっているというのを作りたかったのだそうです。そう考えるとこの物語は2つの次元の異なる世界の物語がひとつの家で薄皮1枚で隣り合わせになっている、という構造なのかなあと思いました。複数の世界で共有している「わたしたちの家」なのでしょうか。

 

監督は清原惟、出演は河西和香、安野由記子、大沢まりを、藤原芽生、菊沢将憲です。

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