白ゆき姫殺人事件

映画 comments(0) - こぶたのゆう


2014年3月29日〜30日付 日本興行成績第4位 1億6361万円。

湊かなえが「小説すばる」に2011年5月号〜2012年1月号まで連載した「白ゆき姫殺人事件」を、「ジェネラル・ルージュの凱旋」や「ゴールデンスランバー」とこれまた大ヒット小説の映画化をヒットさせた中村義洋監督による映画版です。インターネット上での炎上や報道被害を受けて、美人OL殺害事件の容疑者の女性の人物像が恐ろしく肥大していく様子を描いたサスペンス。原作では第1章から第4章までを赤星雄治からの目線による対象者の発言録などで構成、第5章は城野美姫によって真相はどうだったのかが語られるという内容となって、巻末に関連資料(SNSの書き込みとか週刊誌の事件報道が収録されています)という構成になっています。映画版ではこのSNSはTwitterに変えられ、ライターの赤星はワイドショーの契約ディレクターとなりました。
公開最初の週では、宣伝とかの規模がより大きいので有利だとされていた「チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像」を僅かながら上回る成績を記録しての4位。1位が「アナと雪の女王」、2位が「ドラえもん」、3位が「仮面ライダー」という春休み商戦の中、大人向けの映画としては最上位にランクインするヒットになっています。第88回キネマ旬報ベスト・テンの主演男優賞、第38回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞(井上真央の演技は凄かったです)、第10回おおさかシネマフェスティバルの主演男優賞を受賞しました。

長野県の国立公園しぐれ谷で、化粧品会社の美人OL三木典子が胸を何度も刺された上に焼死体となって発見されました。ツイッターでラーメンなどの味の情報を発信している契約ディレクターの赤星雄治は、知り合いの狩野里沙子からこの事件の被害者を知ってると知らせを受けます。被害者の三木典子は里沙子の教育係で一緒に仕事をしていたのです。事件後警察が里沙子の会社にやって来て、会社ではちょっとした騒ぎになっているのだそうです。さらに里沙子は犯人に心当たりがあるといいます。それは三木典子の同期で凄く地味な女性・城野美姫です。彼女は事あるごとに三木と比較され、さらに付き合っていた会社の上司まで取られたという過去を持ちます。おそらくその積もりに積もった恨みがあの事件の夜に爆発してしまったんじゃないかと、里沙子は推理するのでした。実際城野美姫は事件の翌日からお母さんが危篤ということで会社を休んでいるのだそうです。しかもそのお母さんは本当は危篤でもなんでもありませんでした。
この事件を利用すれば自分にも運が向いてくると考えた赤星は、この事件を調べてワイドショーへの採用を考えます。そこで里沙子、城野美姫が教育係だった新人の満島栄美、城野から三木へと乗り換えたとされる係長の篠山聡史たちにインタビュー(と撮影)を行っていきます。その過程で城野美姫の様々な情報が、赤星の元へと集まってくる事になりました。篠山は城野と付き合ってるつもりはないのに、毎日弁当を作ってこられて困っていた。休みの日に家の郵便受けにまで弁当が入っていて怖さを感じた、とか、会社のいろんなものが紛失していた事件が起こっていたが、その犯人は城野だと思う、とか。ネットでこの話題が盛り上がり、次第に城野美姫は魔女のような扱いを受け、多くの人から犯人と断定され、非難されていきます。そんな時、城野美姫の親友と名乗る人物からテレビ局に抗議の手紙が届いたのでした。そしてその内容は、城野美姫という女性はワイドショーとかで報道されている人物像とは大きくかけ離れた心の優しい女性だというものだったのです。

すごく面白いドラマ(サスペンスというよりは、最後に見終わった印象からするとドラマのように思いました)だと思います。事件の真相そのものは特にビックリするものではなくて、一部どうかなと思う部分はあるものの、よくある内容のものでした。それよりも面白いと思ったのは、噂や思い込みなどから人物像や真実がどんどん歪んでいく様子の怖さが描かれている点です。私は原作をよんでいないので直接映画を見ての印象となるんですが、この映画のポイントはその部分、特に大きく3つあると思います。1つ目は人を評価(判断)する時、ある一部分を見てそれを自分の都合のいいように解釈してしまってそれを真実だと思い込んでしまうという事、2つ目はワイドショーというのはその作り方が、作り手の意図した方向になるように意識的に構成されたものであるということ。3つ目はネットなどの媒体を使って根拠のない噂などが真実として一人歩きしてしまうという怖さ。物語が進むに従って、どうやら今目の前に出されている事実だろうとされている事と真実は本当に同じものだろうか、という疑問が見る側に出てきます。そして劣等感や嫉妬に狂った恐ろしい女性像は、実は違うんじゃないかと考えるようになります。そこから、じゃあ本当はどうなんだろうと思った時に、幾人かの悪意が見えてくるという構図なんですが、これは比較的わかりやすくなっているように感じました。そういう、この事件の真相はどうなんだろう、という謎解きではなくて、おそらくこうじゃないかと察しやすい真実がどんどん違う方向へ膨らんでいく様子を見ていくというサスペンスなんだと思います。
全体的に暗い内容で進んでいきますが、終盤子供の頃のエピソードが心の救いとなるお話は、心にじんとくる映画を観る側の救いにもなっているような気がしました。

監督は中村義洋、出演は城野 美姫に井上真央、赤星 雄治に綾野剛、三木 典子に菜々緒、狩野 里沙子に蓮佛美沙子、篠山 聡史に金子ノブアキ、満島 栄美に小野恵令奈です。
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