江戸川乱歩シリーズ 大時計の美女

ドラマ comments(0) - こぶたのゆう

 

昭和54年11月3日にテレビ朝日「土曜ワイド劇場」で放送された江戸川乱歩シリーズの第10弾です。原作は昭和12年1月から昭和13年4月まで雑誌「講談倶楽部」に連載された『幽霊塔』。これは翻案につぐ翻案でオリジナルからずいぶんと変更されてほとんど乱歩オリジナルのようになった小説です。もともとはウィリアムスンの「灰色の女」を黒岩涙香が「幽霊塔」のタイトルで翻案、さらにそれを乱歩が自分のスタイルで翻案したものです。

最近時計塔に越してきた児玉丈太郎は、毎夜現われる幽霊に悩まされていて、とうとう明智小五郎に調査を依頼します。幽霊が恐ろしいのもありますが、誰かのいたずらかもしれない、しかも時計塔には丈太郎の祖父の莫大な財産が隠してあるといわれているので、それを狙っている人物の仕業かもしれないのです。明智がやってきた夜も幽霊は現われます。それを追って墓場まで来たとき、一人の女性にであいます。そして幽霊が残していった服は、児玉家のお墓にかかっていて、となりには「和田ぎん」という名の新しいお墓もありました。和田ぎんは2年前にこの時計塔に住んでいてころされたお鉄ばあさん(丈太郎のおばあさん)を殺した罪で有罪になりましたが、牢屋の中で病死していました。
数日後、お鉄ばあさんの顧問弁護士をしていた黒川弁護士の紹介で野末秋子という女性が丈太郎に紹介されます。秋子が死んだ和田ぎんによく似ているので驚いたのですが、黒川弁護士は別人だといいます。黒川弁護士は和田ぎんの遺体を確認していたのでした。しかし秋子の左腕にはめているブレスレットは、ちょうど和田ぎんがお鉄ばあさんに、死に際手首を噛まれたところと一致するのです。偶然にしてはあまりにおかしいのですが、確信は持てません。
彼女は古い時計に非常に興味を持っていて、ひょっとしたら止まっている時計をなおせるんじゃないかということでした。早速家に向かいますが、女性に手の早い丈太郎は早速口説き始めます。秋子は紛失していた鍵の在り処を見つけ、時計塔の時計を動かすことに成功します。そのころ、以前時計塔に通っていた大工の娘で一時期丈太郎といい仲だったアケミという女性がやってきます。アケミは丈太郎に慰謝料を請求しようとしていました。そして中々財宝が見つからないためにもう愛想がつきていた丈太郎の妻・夏子も何とか丈太郎からお金を巻き上げようとします。そして秋子も財宝を狙っている一人だとして警戒をはじめます。
明智は、時計塔で働いていたお手伝いを探すのですが、働いていた店にはもういませんでした。しかし一緒に働いていたという友達がいたのですが、なんとそれはアケミだったのです。妻の夏子は秋子とアケミを引き合わせました。そして秋子の正体を探ろうとしたのです。アケミは秋子のことを時計塔で働いていたお手伝いと証言しました。秋子はその場を立ち去りますが、アケミが後を追いかけました。慌ててみんなも続きます。しかしその後、アケミが死体で発見されたのです。犯人は秋子なのでしょうか。そして秋子の正体は? そしてさらに秋子の真の目的は?

といったお話です。もともと原作には明智は出てこないので妙に浮いた存在になっています。幽霊が出るというだけで調査に乗り出すのも、今までと比べると変ですし、実際殺人がおきるまでずいぶんと時間が経ちます。それまで殺人もない事件の調査を続けているんです。まあ、明智ものに変更したからしょうがないですけど。秋子役には結城しのぶ。この人は謎の女役をすると本当にはまります。どこか陰のある、という感じがほんとあってますね。
事件自体はそんなに複雑なものではないんで、比較的早い段階で事件の真相はわかってしまいますが、このお話は幽霊話をからめたこの怪奇な内容や雰囲気を楽しむのが正解です。財宝の在り処を示す暗号のような、呪文のような言葉まででてきますから。ドラマ版では財宝への入り口が開いてからすぐに財宝がありますが、原作では入り口からさらに地下迷路になっている通路を奥へ奥へ向かってようやくたどり着きます。そして財宝に眼がくらんだ登場人物の1人は最後閉じ込められてしまうのです。これは怖いラストでした。財宝の在り処を示す言葉ですが、その扉を開く条件の一つに雷が落ちるというのがありました。さすがに時計塔に雷が落ちたら扉が開く、というのはちょっと現実的じゃないというか無理じゃないかな。そんな矛盾点も大きく包んで楽しむのがいいかと思います。

 

監督は井上梅次、出演は明智小五郎に天知茂、野末秋子に結城しのぶ、黒川弁護士に根上淳、児玉丈太郎に横内正です。

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