女學生奇譚 川瀬七緒

小説 comments(0) - こぶたのゆう

 

フリーライターの八坂駿は、オカルト雑誌の編集長から妙な企画の依頼をされる。「この本を読んではいけない……」から始まる警告文と古書を、竹里あやめという女が持ち込んできたのだ。その古書の本来の持主である彼女の兄は数ヶ月前に失踪、現在も行方不明。このネタは臭う……八坂は、タッグを組むカメラマンの篠宮、そしてあやめとともに謎を追う。いたずらか、狂言か、それとも――。最後まで目が離せない、サスペンスミステリー!

 

2016年6月8日刊 徳間書店

 

この本を読んではいけない。過去に読んだ者のうち五人が発狂し、二人が家から出られなくなり、三人が失踪している。これは「拙が把握している限り」の数であり、実際のところは不明である。彼らのその後の生死はわかっていない――。この本を手にしている者については、いかなる事態にも責任は負いかねる。もう一度警告する。ただちに本を閉じよ。読んではいけない。

 

『月刊シュタイナー』の火野編集長から別冊特集の担当ライターの仕事を依頼された八坂駿。ある女性から電話があり、古本に恐ろしいメモが挟んであったのです。そしてその本の持ち主で女性・竹里あやめの兄が失踪していました。カメラマンの篠宮由香里とともに竹里あやめに会った八坂はそこでメモの挟んであった本を受け取ります。本のタイトルは「女學生奇譚」。1日目から30日目と日記のような体裁で描かれている本。八坂はさっそく読み始めます。それは佐也子という少女の日記のようなものでした。本には昭和3年6月発行とあるように、中身もどうやら昭和初期のようです。女学校に通う佐也子の自身のことを書いた小説のようにも思われます。生い立ちから現在の気持ち、女学校での思い出などが書かれていました。モダンガールの友だち多美子の事やエスの関係である「蒼月の君」の事など。そして今日の料理のすばらしさ。ただ不穏なところがあるとすれば、それはこのお話を書き終えたときに彼女は死ななければならないと書かれていました。八坂はメモを取りながら、サブリミナル効果のような仕掛けや精神に働きかける文字列になっていないかなどよく調査してみます。しかしそんな仕掛けはなさそうでした。物語は続きます。新しい少女・道江がこの屋敷に連れてこられました。彼女は帰りたいと泣いてばかりです。佐也子はこの家の主人のお気に入りの存在と自負しています。この家には4人の少女が幽閉されていて、座敷牢の中にいるのでした。女中頭や下男が彼女たちを見張っています。しかし佐也子はあの人のお気に入りという事で、ここにいるのがそれほど苦にはならなくなっていたのでした。今年の1月に佐也子の前にこの家で少女たちがおこなっている柊の会の仕切り役だった三奈がいなくなりました。ここではずっと続いている事があります。それは柊の会の仕切り役の少女は、古時計の夕方の三時の鐘を鳴らす時に女中頭が格子の錠を外す時、仕切り役の少女は旦那様に連れていかれてそのまま帰ってこないのです。三奈もそれっきりでした。

 

本を読んだら恐ろしい事になる、というのは「ずうのめ人形」に似ていますし、本に書かれている事がどうやら事実を基にしているらしく、それを調査していくというのは「残穢」に似ていると思いました。大正15年から昭和3年にかけて東京で神隠しと呼ばれる少女失踪事件が実際に起きている事を突き止めます。消えた少女は15歳から17歳までで、全員がどこかの女学校に通っていました。どうやら書かれている事がフィクションではなくノンフィクションのようだとわかって来てから面白くなっていきます。ポイントは帯にも書かれているようにこの本がサスペンスミステリーである事。「ずうのめ人形」や「残穢」はホラーといっていい内容だったけど、こちらはホラーのように見えるけれど結果的にはホラーじゃないなという印象でした。ただホラー並みの衝撃の(恐ろしい)真実はありますけど。気分が悪くなるくらいの真実です。終盤内容が二転三転するところも良かったです。問題点は本を巡る真相の部分。スケールの大きな真相ですが、リアリティの所で考えるとわたしはどうかなあと思います。

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