諸星大二郎 『狂犬』

小説 comments(0) - こぶたのゆう



『小説現代増刊メフィスト』2003年1月号掲載。この小説は中篇と言えるほどの分量があります。恐ろしい出来事から間一髪助かったというお話です。

私は旧農業技術試験場にバスで向かっています。担当者が入院してその代役でした。アグリセンターと呼ばれる新しい試験場ができて、旧の方は近々閉鎖されるとの事でした。私はバスの中で1人の女性に声をかけられます。どうやらその女性も旧農業技術試験場に行くようでした。でも若い女性がそんなところにいく理由がわかりません。聞いてみると私が見たものを自分も見たいからだとの事でした。自分が見たものとは、帰りに迷い込んでしまった試験場の地下にあった不思議な部屋でした。それはコンクリートの部屋ではなくて土がむき出しになっていて、中央に祠があります。そしてその部屋の奥に何かがいるような気配がしたのです。さらに女性は、あなたは犬に吠えられていても気づいていない、と言われます。私は犬に吠えられた覚えはありません。彼女が何を言っているのかさっぱりわかりませんでした。

バスを降りて試験場へ向かう時、女性が名前を教えてくれました。キョウコという名前で、凶子と書くのだそうです。そして近道といって畑の中を進み始めました。私はその畑を行くのが嫌でした。腐ったキャベツが山のように散乱している、用途の全くわからない場所だったからです。そして凶子は見えないものが見えるようになるおまじないを教えてくれました。
試験場に着いたとき、いつの間にか凶子の姿が消えていました。教わった通りにしてキャベツ畑を見てみると、一瞬違うものが見えたのです。それは・・・

このお話では、試験場で培養されているものが何か、というのが最大の秘密です。そしてそれに関係して犬が登場してきます。どうして農業技術試験場と犬が関係してくるのか、それは培養されているものが大きく関係するのですが、びっくりのものが培養されています。想像しなかったそれは何か? ヒントは祠です。ますます分からなくなったでしょうか。
凶子という女性は私に凶事を運んできたのでしょうか、それとも凶運を運んできたのでしょうか。

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