江戸川乱歩「白髪鬼」より 宝石の美女

ドラマ comments(0) - こぶたのゆう



昭和54年1月6日にテレビ朝日で放送された天知茂主演の江戸川乱歩の美女シリーズ第7弾『江戸川乱歩「白髪鬼」より 宝石の美女』です。原作は「富士」に昭和6年4月号〜昭和7年4月号まで連載された江戸川乱歩の同名小説で、この原作にはさらに原作があります。もともとはマリー・コレルの小説「ヴェンデッタ」を基に黒岩涙香が翻案した小説「白髪鬼」で、それをさらに江戸川乱歩が翻案しました。トータル的な内容は、殺されて埋葬された主人公が墓の中で蘇生して、恐怖のために白髪と化して復讐鬼となる物語。

宝石泥棒・西岡が脱獄しました。彼は今まで盗んだ宝石をどこかに隠していてまだ発見されていません。仲間の協力で脱走に成功しましたが、彼はその仲間さえも殺してしまうのです。そして隠し場所(岩をくりぬいて作られた洞窟のような部屋になったお墓)に向かってみると、棺桶のひとつに隠しておいた宝石はなくなっていたのでした。射殺された仲間はその死に間際、警察に西岡は変装用の白髪のかつらを用意していた事を話します。
1年前に主人の大牟田敏清を海の事故で亡くして未亡人になっていた瑠璃子がお風呂に入っていたとき、窓の外に白髪の不審者がいるのを発見しました。警察に届けたところ、西岡かもしれないという事でその行方を追っていた浪越警部と明智小五郎(西岡逮捕の時に力を借りた関係で今回も協力をお願いしていました)がやってきます。この家には瑠璃子の他に妹の豊子、夫が面倒を見ていた画家の川村が住んでいます。そして夫が亡くなってこの家にはあまり財産が残っていなかったことから、近くの別荘を売りに出していたのですが、その買い手・里見が現れます。彼はサングラスに顔に大きな傷、そして見事なほどの白髪でした。瑠璃子に非常な興味を持ったようです。彼はあまりある財力を見せ付けるように瑠璃子に接近していきました。本当は瑠璃子と川村は愛人関係にあり、邪魔になった夫の敏清を崖から突き落として殺害したのですが、絵の売れない画家である川村に見切りをつけて、里見に心が傾き始めていたのです。しかしこの里見という男はどことなく敏清に似ていました。最初は夫が生きていたのかと思ったほどです。しかし医者の住田(彼女は虚偽の死亡診断書を書くことにより共犯者となっています)は確かに死んでいたと証言しました。そして再び白髪の男が家に現れます。豊子が後を追いかけ、里見に疑惑を持っていた川村はその隙に里見の泊まっているホテルに電話をしましたが、彼はちゃんと部屋にいました。犯人は本当に西岡なのだろうかとわからなくなった矢先、豊子が死体で発見されます。

これは原作がすでに犯人の視点(復讐の物語ですので)で書かれているもので、ドラマもその辺はあえて変更していません。犯人は大体察しがつきますし、今回は殺される側も前に敏清殺害に関与していた人たちばかりなので酷い犯人という訳でもありません。そのため恒例の明智が変装を解くシーンも特にびっくりするような事はありませんでした。反対に犯人役(これは書いてもかまわないと思います。大体犯人を隠さないような作り方になってますから)の田村高廣の存在感がすごく大きく描かれています。明智役の天知茂が霞んでしまうくらいです。犯人の復讐が成功するのか失敗するのか、このラストは背筋がゾッとするような展開となっています。このシリーズでは『エマニエルの美女 江戸川乱歩の「化人幻戯」』が同じ感じでした。こういう終わり方はかなり心に残りますが、私は好きです。

監督は井上梅次、出演は明智小五郎に天知茂、里見重之=大牟田敏清に田村高廣、大牟田瑠璃子に金沢碧、川村に小坂一也、浪越警部に荒井注です。
そういえば田村高廣という人は「古畑任三郎」の田村正和のお兄さんで、さらにその下に田村亮もいて田村三兄弟とも呼ばれていました。本当はもう1人いて次男・田村俊麿ですが、この人はマネージャーをしていて俳優ではありませんでした(一時期俳優をしていた時もありますが本業ではありません)。この末っ子の田村亮ですが、ロンドンブーツ1号2号の田村亮とは別の人ですが、家が近くで面識はあるそうです。

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